年齢とともに気になってくるシワ・たるみ。
これらは私たちの身体から年々弾力が減っていくことが原因と考えられます。
そこで、いつまでも若く美しくハリのある肌を保つために、化粧品や栄養補助食品を利用されている方も多いことと思います。
肌のハリ・美肌を保つ成分として広く認知されている成分のひとつにコラーゲンがあります。
コラーゲンは大変人気も高く、化粧品やドリンク、ゼリーなど様々な商品が市場に広がっています。
確かにコラーゲンは肌の若返りに大切な成分なのですが、最近の研究ではコラーゲンだけでは肌のシワ・たるみなどの老化を食い止められず、コラーゲンと「エラスチン」を組み合わせることで美肌効果が得られることが分かってきました。
私ども九州工業大学 大学院情報工学研究院 物理情報工学研究系では、このエラスチンを長年に渡って研究してまいりました。
エラスチンは水にはほとんど溶けない性質を持つため、研究素材としては扱いにくく研究が遅れている素材でしたが、最近になって様々な研究が進んだことでそれらの研究成果が製品開発に応用され評価が高まりつつあります。
エラスチンの主原料となる豚・魚からエラスチンを製造する技術としては酵素処理が一般的です。しかし、処理に用いた酵素を除去することが難しく、また、エラスチンが分解されとても小さいサイズ(分子量が1,000 Da以下)になっているものがほとんどです。
そこで九州工業大学では、新たにアルカリ処理による抽出技術を研究開発いたしました。
アルカリ処理では酵素などの不要なものを使用しないため、最終的に純度の高いエラスチンのみを得ることができます。
アルカリ処理によって得られたエラスチンが高純度であることは、指標となるアミノ酸誘導体であるデスモシン、イソデスモシンが十分量含まれていることからも明らかです。
さらにアルカリ処理では、種々の条件を変えることで低分子から高分子までの様々なサイズの分子量のエラスチンを製造できるため、幅広い用途での利用が始まっています。
この画期的なエラスチン抽出方法であるアルカリ処理は九州工業大学が特許※を取得しています。
(※特許第4078431号 E&Cヘルスケア社と特許実施許諾契約「独占的な通常実施権」を締結している)
エラスチンの活用・製品化においては、何よりも素材となるエラスチンの純度の高さが重要となります。
また、最近になって研究が進んだことから、素材としてのエラスチンには医療・健康・美容をはじめとする大きな可能性があることが注目を集めるようになりました。
そのような意味で、九州工業大学の岡元孝二名誉教授らにより発明された特許技術であるアルカリ処理により製造された高純度のエラスチンは、大変価値があるものと考えられます。
エラスチン研究の最前線で日々研究を進める研究者という立場からも、純度の高いエラスチンを供給することによる品質の向上、市場の活性化、社会貢献には大変大きな期待を持っています。